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本当は怖いキッザニア

喘ぐ赤子と悶える犬猫。キッザニアの世界で道に背くとどうなるのだろうか。

キッザニアのダークな一面を垣間見た。

​①大人は肩身が狭い

 

黒猫ヤマトやANAなど、有名企業の看板がずらりと並ぶ街道。入場した途端、子供だらけで不安感に襲われる。子供達は各々に好きな企業の職業体験ができるようになっている。職業を体験すると、時間に応じて賃金(キッザニアの通貨)が貰える。実際にキッザニアの銀行に預金したり、おもちゃや文房具と交換ができたりするのだ。

 

子供の国の街並みは建物や信号機を、実際の3分の1の大きさに縮小して再現したそうだ。

大人優位の社会に恨みを持った子供が、自分達だけの楽園を造ってしまったように思える。

 

秩序も子供中心に作られている。子供が走ってくると、こちらが避けなければならず、肩身が狭い。大人は職業体験の部屋の中には入れず、外で見守ることしかできないのだ。

 

こちらは動物病院。青白いレトリバーは悶え苦しみながら動く仕組みになっている。ときおり痛みに眉を潜めたり、口を開いたりする



こちらの猫も死にそうだ。この猫は「尿官結石のため、手術室で腹部を切り開き、縫合をする」という設定だそうだ。このように、細かいシナリオが作られているのが子供の国の特徴だ。

 

 

さて、この犬と猫は、治療後はどうなってしまう設定なのだろうか。4時間以上の労働でやっとペン1本買える、シビアな設定にしているくらいだからきっと・・・。

こちらは新生児室。人形を「ぽぽちゃん」に変えよう、という話にはならなかったのだろうか。院内感染をして喘ぎ苦しんでいるようにしか見えない。

床屋さん。付け髭をつけるのが、床屋の主な仕事である。平日の昼間から床屋で髭をつける客が、こんなにいるとは驚きだ。怪しげな顔になった客は、余計に職に就けなくなってしまいそうだ。



②子供の国は社会の縮図



大和証券のブースには、いかにもずる賢そうな子供が偉そうに座っていた。用意されている濃紺のジャケットを羽織り、金ボタンを光らせて得意気に椅子にもたれている。


彼らのような一応の成功者もいれば、道を背いてしまう人もいる。


裁判所の横には拘置所もある。
トイレの蓋が開いているのがリアルだ。本物のトイレと間違える子供がいないか不安になる。



拘置所の中にも入ることができるそうだが、どういう経緯で入ることになるのだろう。ここにも裏シナリオがありそうだ。



 



キッザニアには社会の縮図がそのまま反映されている。



芸人になるにはオーディションを通過する必要があるので、全員がなれるわけではない。「少年ジャンプ」を出している出版社も大人気で大行列だ。

世の中甘くない。


また、銀行の利子は10%なので、賃金の多い子供は膨大に富を増やせるが、キッザニアに入るにも3500~4700円の入場料が要る。
結局、実際のお金を払って何回か通わないと、なかなかおもちゃと交換はできないし、金持ちにはなれないのだ。



医者ブースには賢い目をした子がいるし、証券会社にはお金が好きそうな子がいる。人間の本質は、子供のころから決まっているのだ。子供たちを見ていると、そう納得させられる。



キッザニアの本当の怖さは、上記の一連の物を「怖いもの」と思わずに、子供のテーマパーク施設として造った大人がいることである。社会を再現しようと意気込んだにも拘わらず、カルト的な世界観を表現してしまったのだから。一体どうしたのだろう。



      

      文・取材 ドクガクテツガク編集部 かな子

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